[ CONCEPT ]
私たちはリノベーションするとき常に、お施主様がどのような空間を必要としているのかを考えていきます。 今回も、お客様との何回もの打合せや提案を経て完成した住まいです。
今回のリノベーションでは、既存の間仕切りや設備を全て取り払い、構造躯体の中に床レベル(段差)と 色によってスペースの性格を変えるという家をつくりました。
*床レベルについて*
古い集合住宅をリノベーションをする際に設備配管の為、床を上げる必要がある場合がほとんどです。 その床レベルに合わせ、住戸全体の床をフラット(バリアフリー)にするのが一般的。 ですが、あえて床段差をつけるということも選択肢としてあります。 今回は、床段差によりキッチンとダイニングの段差で通常の椅子が使えるようになったり、ダイニングと リビングの段差に腰を掛けたり、間接照明を入れたり…と豊かな空間をつくることができました。 「ネガティブな段差」はつらいですが、「ポジティブな段差」は空間にとってなかなか魅力的です。
*仕上げの色について*
集合住宅の中住戸(特に縦に長い住戸)は、窓から遠い住戸センター部分が暗いとよく言われます。 その光の届きにくいスペースにダイニングキッチンを配し、あえて暗い色で仕上げました。暗いスペース から明るいスペースを見ると、コントラストのため、より明るさを感じられます。
段差あり、明暗ありのスペースが、ひとつの家の中に共存することで、様々な空間の関係を築き、暮らしに彩りを与えてくれます。